シリコン塗装とウレタン塗装の違いとは?用途・性能・選定ポイントを解説

「シリコン塗装とウレタン塗装、どちらを選べばよいのか?」という疑問は、建築や工業、食品機器などの塗装現場においてよくあるものです。特に、非粘着性・撥水性・耐熱性が求められる業界では、塗装の種類によって性能に大きな差が生じます。
この記事では、シリコン塗装(シリコーン塗装)とウレタン塗装の違いをわかりやすく整理し、最適な塗装選定のヒントを提供します。
※本記事でいう「シリコン塗装」とは、シリコン樹脂ではなく、シリコーン樹脂による非粘着・撥水・離型性塗装を指し、パン型や厨房機器の業界では「シリコン加工」とも呼ばれています。
シリコン塗装(シリコーン塗装)とは?
シリコーン塗装は、金属などの素材表面にシリコーン樹脂をコーティングすることで、非粘着性・撥水性・離型性・耐熱性などの高機能を付与する技術です。
特に、食品製造業や厨房用品において、パンや焼き菓子が型にくっつかずスムーズに離れる機能性が重宝されます。
また、PFASフリーの環境対応型塗装としても評価が高く、安全性を重視する現場でも広く採用されています。耐熱性も高く、200〜300℃の高温でも性能を維持できるため、オーブンや加熱工程を伴う製造ラインに適しています。
ウレタン塗装とは?
ウレタン塗装は、ポリウレタン樹脂を主成分とする塗料を使用した塗装方法で、柔軟性と耐候性に優れた仕上がりが特徴です。屋内外の建材や木工品、機械部品、一般金属など、幅広い用途で用いられており、特にコストパフォーマンスの高さが評価されています。
ウレタン塗膜は柔軟性があり、衝撃や伸縮に強いため、振動の多い設備や動的な構造物にも適用しやすい塗装です。ただし、高温・高湿の環境や強い化学薬品に対する耐性は限定的であり、定期的な再塗装が前提となるケースもあります。
比較表:シリコン塗装とウレタン塗装の違い
比較項目 | シリコン塗装(シリコーン) | ウレタン塗装 |
主成分 | シリコーン樹脂 | ポリウレタン樹脂 |
耐熱性 | 高い(200〜300℃) | 中程度(80〜120℃程度) |
非粘着性・離型性 | 非常に高い(食品・成形用に最適) | 低い(粘着防止機能は基本なし) |
撥水・撥油性 | 高い | 中程度 |
耐候性 | 高い | 中程度〜やや高め |
柔軟性 | やや硬め | 柔らかく伸縮性に優れる |
再塗装性 | 可(専門施工推奨) | 容易(DIYでも対応可能なケースあり) |
コスト | 中程度(用途により高価) | 比較的安価 |
用途別のおすすめ塗装
厨房・食品製造の現場では、非粘着性や耐熱性、清掃性が重視されるため、**シリコン塗装(シリコーン塗装)**が適しています。特にパン型・焼き型などでは「離型性」の高さが製品品質を左右するため、ウレタン塗装では対応が難しい場面が多くあります。
一方、屋内外の設備や汎用的な構造物、比較的低温での使用が前提の用途には、コストパフォーマンスの高いウレタン塗装が有効です。特に柔軟性が求められる配管、木部、機械カバーなどで活躍します。
誤解されやすい「シリコン」と「シリコーン」の違い
「シリコン塗装」という表現は、時に半導体素材のシリコン(Silicon)と混同されがちですが、本記事で扱うのはシリコーン(Silicone)樹脂を用いた塗装です。
特にパン型業界では、シリコーン塗装=シリコン加工という呼称が一般化しています。技術者や発注者間でもこの点の誤解がないよう注意が必要です。
まとめ:機能重視か、汎用性重視かで選ぼう
シリコン塗装(シリコーン塗装)とウレタン塗装は、用途や性能面で明確な違いがあります。非粘着性・撥水性・耐熱性を求める現場ではシリコーン塗装が最適であり、コストや柔軟性を重視したい場面ではウレタン塗装が効果的です。
導入前には、使用温度、接触物質、清掃頻度、耐久年数などを総合的に判断し、自社に最適な塗装技術を選定しましょう。
シリコン塗装(シリコーン塗装)の詳細については、株式会社技研のサービス紹介ページをご覧ください。