セラミック塗装｜セラミック塗料の特徴と種類と塗装方法
近年、高性能な塗料の一つとして、セラミック塗装の名前を耳にすることが多くなってきました。技研グループでも５年ほど前からセラミック塗料と称される塗料を使用しており、現在でも一定の数で問い合わせがあります。今回は弊社でかかわりのあるセラミック塗料についての特徴や用途について、私たちの考えも含めて解説していきます。
まずはじめに、セラミック塗料の定義ついて。ひとことでセラミック塗料といっても幅広く、業界や塗料メーカーによって、その定義も変わってきます。ここではセラミック粒子を含んだ塗料と定義して、話を進めていきます。
特徴
セラミック塗装はその特殊な構成と性質により、様々な優れた特徴を有しています。自動車、航空宇宙、産業機器、厨房用品など、幅広い分野で利用されています。以下に主要な５つの特徴を挙げました。
１．耐熱性：セラミック塗装は非常に高い耐熱性を持ち、大きな温度変化にも耐えることができます。このため、エンジン部品や排気システムなどの「高温環境」にさらされる部品に適しています。
２．耐摩耗性：表面硬度が高く、摩耗や擦り傷に対する耐性に優れています。これにより、動きの多い部品や摩擦が頻繁に発生する箇所に適しています。
３．耐薬品性：化学薬品や腐食性物質に対する耐久性があり、化学工業や海洋構造物などの厳しい環境での使用に適しています。
４．耐候性：UV耐性や耐水性が高く、外観や性能を維持することができます。これにより、屋外設備や建築物の表面処理にも適しています。
５．美観：光沢の調整も可能で、一般的な塗料と同じく、なめらかな外観を得られます。カラーバリエーションも豊富で、装飾的な用途にも用いることができます。
セラミック塗料の種類
塗装工業で使用されるセラミック塗料は、その用途や機能に応じて様々な種類があります。ここでは、主要なセラミック塗料のベースになる3つと、それぞれの特性について詳しく解説していきます。
１．シリカ（SiO₂）
高い耐熱性があり、シリカベースの塗膜は高温に強く、高温環境下でも性能を維持します。これは、エンジン部品や排気システムなどの高温で使用されるアプリケーションに適しています。また、耐摩耗性や擦り傷にも強く、工業用機器や輸送機器、ほかに耐薬品性にも優れているため、化学プラントから家庭用厨房機器まで、幅広く使われています。
ceramic frypan
２．アルミナ（酸化アルミニウム、Al₂O₃）
アルミナベースの塗膜は非常に高い耐熱性を持ち、高温環境下でも安定して性能を維持します。さらには硬度が高いため、塗膜は摩耗や擦傷に対して強い耐久性を示し、高温環境下でも安定して性能を維持できます。さらに、熱性能に優れているため、熱を効率的に分散することができます。このため、工業炉やエンジン部品など、高温にさらされ、熱管理が重要な電子機器や自動車部品において有利な塗料です。
３．酸化チタン（TiO₂）
チタン酸化物（TiO₂）ベースの塗料は、高いUV性を有し、光触媒作用による自浄機能を持っています。白色顔料としての使用などで知られており、この特性により、屋外の建築材料や自動車の塗装に用いられています。
セラミック塗料の塗装方法
塗料の準備：セラミック塗料は特殊な成分を含んでいます。そのため、適切な粘度や均一性を得るために、特別な準備が必要になります。 場合によっては、特定の成分の使用や、粒子の均一分散のための混合が必要です。
塗装設備：セラミック塗料は一般的な塗料よりも粒子が細かく、硬度が高いため、特殊なスプレーガンや塗装設備が必要になる場合もありますが、基本的には一般塗装と同等の塗装設備場があれば、塗装作業が可能です。
塗装条件：一部のセラミック塗料は、特定の温度や湿度の条件下でなければ塗装できない場合があります。そのため、塗装環境の管理が求められる場合があります。
乾燥・硬化プロセス：セラミック塗料は高温で焼き固める必要がある場合があります。その場合は、一般の焼付塗装温度よりも高く、150℃～300℃度程度で焼成するものが多くあります。
技研グループとしての考察
これらのセラミック塗料は、それぞれの独特の特性を持っており、適用する環境や要求される機能に応じて選択する必要があります。塗装会社の立場としては、これらの特性を理解し、特性を最大限に活かすことで、機械や設備の性能と寿命を大幅に向上させることが可能になると考えています。
技研グループでは塗装加工に関して、お客様の使用環境や用途をお伺いし、様々なご提案させていただいております。ご要望に応じた塗料の選定や、塗装工法のご提案などを積極的に行っています。
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